東京高等裁判所 昭和46年(行ケ)29号 判決
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〔編注〕一 特許庁における手続の経緯
原告は、昭和三十九年四月三十日、名称を「排藁の誘導処理装置」とする考案につき実用新案登録出願をしたところ、昭和四十一年十一月二十一日出願公告されたが、昭和四十二年一月十九日登録異議の申立があり、同年七月八日拒絶査定を受けたので、同年九月十三日、これに対する審判を請求し、同年審判第六、六〇九号事件として審理されたが、昭和四十五年十二月十七日、「本件審判の請求は、成り立たない。」旨の審決があり、その謄本は、昭和四十六年三月五日原告に送達された。
二 本願考案の要旨
自動脱穀機の排稈口側に並置した截断機の供給樋の一側と自動脱穀機の排稈口の下縁との間に多孔板或いはクリンプ網などを装着して排稈口より掃出される穀粒や排藁束中のササリ籾を回収するようにしたことを特徴とする排藁の誘導処理装置。
〔判決理由〕(本件審決を取り消すべき事由の有無について)
二 当裁判所は、次に説示するとおり、本件審決には、これを取り消すべき事由があるとする原告の主張は、理由がないものと判断する。すなわち、前記本願考案の要旨および本願考案の実用新案公報によれば、本願考案は、自動脱穀機の排稈口より掃出される穀粒や排藁束中のササリ籾を回収するため、自動脱穀機の排稈口の下縁と截断機の供給樋の一側との間に、多孔あるいはクリンプ網などを装着したことを特徴とするものであることを認定しうるところ、(昭和三五年実用新案出願公告第一四〇四三号公報)には、刈り取つた稲を直ちに脱穀し、脱穀した藁を適宜に切断する技術目的を解決するため稲刈機に脱穀機および藁切機を組み合わせた構造を有する自動稲刈機が記載せられており、また、第二引用例(昭和三二年実用新案出願公告第一四七二四号公報)には、自動送込脱穀機の排藁口より排出される排藁中に含まれているササリ籾を回収するため、脱穀機本体の軌条端に取り付けられたクリンプ網製の搬送台が記載せられており、この記載によれば、脱穀機において、排藁の移送中にその排藁中に含まれている穀粒やササリ籾を回収するため、その排藁口にクリンプ網を設けることは、本願出願前公知であることが明らかであり、他方、第一引用例の前示記載によれば、脱穀機と藁切機とを組み合わせること自体は、同様に公知であること明らかであるから、第二引用例記載の排藁口にクリンプ網を設けた脱穀機を藁切機の一端に接続し、本願考案のような構造のものとすることは、当業者にとつて、きわめて容易に推考しうる程度のものとするを相当とする。
(むすび)
三 叙上のとおりであるから、その主張の点に判断を誤つた違法のあることを理由に本件審決の取消を求める原告の本訴請求は、理由がないものというほかはない。よつて、これを棄却する。
(三宅正雄 武居二郎 布井要太郎)